はじめての更紗
幼いころ、母が外出する時に、よくバティック(ジャワ更紗)のツーピースを着ていました。
シンガポール航空の客室乗務員のユニフォームによく似た感じの装いでした。
渋い色合いの中にも華やかさがあり、エキゾチックな雰囲気が漂っているのが、とても好きでした。
私の記憶の中で、はじめて見た更紗ではないかと思います。
今から二十数年前、インテリアに使おうと、はじめて自分で更紗を購入しました。
大きなマルチカバーです。(写真)
そう高価ではなかったと思います。
購入先のお店の人は、インドのものだと言っていたのを覚えていますが、
フランス更紗を思わせるところがとても気に入っています。
長い間、使わずに仕舞いこんでいたため、シミがいくつかあります。
模様を活かして、何かに作り変えようか、思案しているところです。
更紗の語源には、いろいろな説があるようです。
研究者の友人は、インドの東南部のテルグ語でいう「サラッソ」(「優美」という意味があるらしい)
から来ていると考えるのが、自然な解釈ではないかと言っていました。
日本では、江戸時代にインド更紗、ジャワ更紗が入って来たと言われています。
渡来の模様をところどころに残しながら、日本の更紗スタイルを生み出した
鍋島更紗、堺更紗、江戸更紗などがあります。
さらに独自の変化を遂げて、小紋や友禅が生まれたようです。
更紗と同じ技法を持つ「紅型」(びんがた)の語源は「ベンガラ」ではないかといわれています。
ポルトガル人 トメ・ピレスによる1500年ごろの記録では、マラッカ海峡にある港で、
琉球船の人々が訪れ、インドのベンガルから来る布を、好んで大量に買っていたそうです。
インドでは、インド更紗のことを「カラムカーリ」、インドの影響を受けたインドネシアの
ジャワ更紗のことは「バティック」と呼んでいます。
漢字だけでも「皿紗」「紗良紗」など、「更紗」に落ち着くまでに、長い道のりがあったようです。
更紗とひとくくりにするの難しいのですが、これからの更紗はどう歩むのでしょう。