150年前の古裂
バリ島でかつて栄えた古都シガラジャで、祭礼用の肩掛けに使われていた、
金糸使いの古裂(こぎれ)を額に入れて飾っています。
数年前、バリの友人に譲っていただいたときから、状態がよくありませんでした。
「150年くらい前、あるいはもっと古いかもしれない」との話でした。
ところどころに穴があるほか、折りたたんだ際の、たたみ目が裂けていました。
貴重なものだろうと思ってはいたものの、「かなり古いな」と思うのが先でした。
ところがある時、アジアの骨董に詳しい方から、「これは大事にしてください」と言われ、
その時に、本物の金糸が使われていることを知りました。
綿の布に挟み、折り目が出ないようにロール巻にして、保管していましたが、
時々、陰干しに出したりしているうちに、裂けかけていた部分が、完全に裂けてしまいました。
そのため、一部を額縁に入れて飾ることにしました。
写真では、わかりにくくて申し訳ありませんが、
長い月日を経て、色あせても美しい茜や亜麻色の糸と、ところどころに金糸を使っています。
細やかな紋織りの技法を駆使し、丁寧に仕上げられています。
社会的地位が高かった人ために織られたのだと思います。美しい布です。
この布から、アジアの職人たちが本来持つ技術の高さを、うかがい知ることが出来ます。
シガラジャのいにしえの繁栄を、浮かび上がらせるかのようです。
このように、貴重な古裂は額装のインテリアとして楽しみつつ、
次の時代に残す--というのはいかがでしょうか。
額やフレームで、ずいぶん表情が豊かになります。
写真のフレームは、専門家にお願いして、落ち着いた金色を選んでいただきました。
和洋とちらの部屋にも合うように、とのことでした。