金更紗
ペルシャ、インドに由来する生命樹の模様です。
中央に描かれている樹木は、ペーズリーの原型とも言われる糸杉。
糸杉の中の模様は、宇宙観が描かれていると言われています。
落葉せず、不死のイメージがあることから、西アジア地域では
神木として崇められてきたようです。
一家の健康や繁栄を祈り、壁に掛けたり、間仕切りのための
暖簾などに使われてきた大判の布です。
色づけの型押し後、さらに金粉の型押しが全体に施されています。
おそらく純金ではないかと思います。
近年の金更紗といわれるものは、鮮やかな金ラメの接着剤のようなものを、
あとで模様に沿ってのせているものがほとんどです。せっかくの更紗を台無しにして
しまうのではないかと思うものもあります。
以前から、インドやインドネシアで、金更紗つくりに挑戦してみたいと思っていました。
そんなとき、アラブの富豪(!?)が贈答用に、インドにオーダーしたもののうちの1枚を譲り
受けました。写真の布です。
そういう特別なオーダーがなければ、いまでは作られることはないでしょう。
全体像の写真は、夕暮れ時に、外の光だけで撮りました。
模様が鈍く光り、浮かび上がるように見えます。
写真でうまくお見せすることができないのが、残念です。
インド更紗 型押し、カラムカリ(筒描き) 近年のもの