生命樹 2008
ご無沙汰いたしております。
ここ数日は、東京も冬らしい寒さですが、年々冬が過ごしやすくなってきているような気がします。
寒さが苦手な私には有難いことですが、地球のことを考えると、そう喜んでもいられませんね。
今年は、久しぶりに「生命樹」を題材にしたいと思います。
これから少しづつ、アジアの各地域で布に描かれる「生命樹」のコレクションを
ご紹介していきたいと考えています。。
画像は、インド更紗(カラムカーリ)に描かれたものです。
インドの生命樹の描かれ方のひとつに、うろこ状の山の上に樹木がそびえています。
それは、木から落ちてできる腐葉土、獣の屍などといわれ、再生を表しているとも言われています。
うろこ状の山の上に樹木が聳えていることが、ごく自然な描き方のようです。
下記の文章は、今年予定される「生命樹」の展示会に使用される原文の一部です。
海外ではじめてのコレクション展を準備中です。
------------------------------------------
Tree of Life 『生命樹』 ―――アジア各地の染織にみる 花・獣・樹木の文様
アジアを旅していて、気に入って集めた布の模様に、ある共通点があることに気づきました。
それが「生命樹」という構図であることを知りました。地域や民族、宗教を越えて、
共通して見ることができる模様です。生命の探求にも繋がるかのような、シンプルでありながら
奥深さを感じさせる言葉に、何かに導かれて、アジアを旅しているような気にさえなったものでした。
暑い日には、木陰が心地よかったことでしょう。実をつけ、花を咲かせ、人間より大きく、
長く生きる樹木。鳥や獣も集います。描かれる樹木は、地域などによって異なりますが「豊穣祈願」
「不老長寿」を祈る気持ちを表現しているとされる点は、だいたい同じようです。
樹木を利用し、都市計画が始まったことで、文明が幕を開けました。そのおかげで、今日の私たちの
暮らしがあるのではないでしょうか。 けれど、それが環境破壊のはじまりでもあったと言われています。
布に描かれる樹木の模様には、社会全体に自然と調和した美しさ、自然との共存が描かれているように、
感じることもあります。
私にとって、「生命樹」は展示会のテーマの大切なひとつです。
「生命樹」の模様を集めていることを知っている友人、知人たちも、旅先で見つけて買ってきてくれる
こともあり、コレクションの数も増えました。近年、復元に成功した布もあります。生命樹からさらに
進化した百花繚乱の模様などをあわせると計40点のコレクションがあります。
アジアの染織に描かれる生命樹のコレクションを通して、美しく描かれる樹木と、人々の素朴な祈りを、
多くの方に見て、感じ取っていただければと考えています。
「生命樹」コレクション展・履歴
2002年5月 東京国際フォーラム 有楽町・東京
2004年6月 那覇市民ギャラリー 那覇・沖縄
■Copyright (C) 2000-2008 RUMIKO KOGA All rights reserved■